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硬水と軟水の違いは「硬度」の違いです。
……と言われてもよくわからないですよね。
この記事では、
- 「硬度が違う」ってどういうこと?
- いつも見かけるあの水は硬水?軟水?
- 鉱水って何?硬水と違うの?
- 利用シーン別、硬水と軟水のメリットデメリットと使い分け方
について解説していきます。
硬水と軟水の違いは「硬度」の違い
硬度というのは、水1Lあたりに含まれるカルシウムとマグネシウムの含有量のことです。
単純に mg/L という単位で表します。
例えば、日本の水道水は 硬度50~60mg/L、アメリカの水道水は100~300mg/Lです。このように硬度には幅があるんですね。
なんで水によって硬度が違うの?
硬度は、おもに採水地によって異なります。
ミネラルウォーターや水道水など、私たちが日常で使用する水の多くは「地下水」で、地下深くにポンプを挿して汲み上げることで採水しています。
地下水には、周辺の土からミネラル(カルシウムやマグネシウムなど)が溶け出します。採水地ごとに異なる土の種類によって、地下水に溶け出すミネラルの種類や量(硬度)が変わります。
多くのミネラルウォーターが「富士山の水」といったように採水地を強調しているのは、採水地によって水の硬度や性格が異なるためです。
日本と外国の水の硬度の違い
日本の水は軟水、つまり硬度の低い水が多いです。これは日本は国土面積が狭く、また傾斜の多い地域であるため。地中内での水の移動スピードが早いので、土に含まれるミネラルを吸収しにくいのだと言われています。
一方で欧米の水は硬水、つまり硬度の高い水が多いです。国土が広く、比較的平坦な場所で採れる地下水は土のミネラルをたっぷりと吸い込んでいます。
各硬度における軟水・硬水などの呼び方の区別
ここでようやく「軟水」「硬水」の解説です。
硬度は採水地によって30mg/Lから1,000mg/Lを超えるものまでありますが、その値によって「軟水」「中硬水」「硬水」「超硬水」と呼び方が分けられています。
世界基準での区別に関しては、WHO(世界保健機関)が出している分け方を参考にするのがいいでしょう。以下の表の通りです。
硬度による区分・WHO基準(アメリカ硬度) | |
---|---|
軟水 | 0 ~ 60mg/L |
中硬水(中程度の軟水) | 60 ~ 120mg/L |
硬水 | 120 ~ 180mg/L |
超硬水(非常な硬水) | 180mg/L ~ |
ただし日本では、以下のようなおおざっぱな区別をする場合もあります。
硬度による区分・日本(アメリカ硬度) | |
---|---|
軟水 | 0 ~ 100mg/L |
硬水 | 100mg/L ~ |
このように、どのような区別基準を採用しているかによって「軟水」「硬水」の定義は違ってきます。おおざっぱな区別にはいいですが、正確には硬度の値を見て判断するようにしてください。
「鉱水」と「硬水」の違いは?
「鉱水」は「浅井戸水」「深井戸水」「湧水」「温泉水」など、その水の原水を示す区分のひとつで、硬度の区分である「硬水」とは別物です。
鉱水は「ポンプ等により取水した地下水のうち、溶存鉱物質などにより特徴付けられる地下水」という区分になっています。わかりづらいですが、単純に「地下水なんだな〜」くらいに思っておけばOKです。
そういうわけなので、「鉱水 = 硬水」は必ずしも成立しません。「硬度30mg/Lの軟水の鉱水」「硬度280mg/Lの硬水の鉱水」などいろいろなパターンがあり得ます。
硬水と軟水の違いをくわしく知る
硬水と軟水の違いをさらに詳しくチェックしましょう。
【栄養・健康面の違い】硬水は栄養たっぷり、軟水は栄養なし
硬度が高ければ高いほど、その水には多量のミネラル(おもにカルシウムとマグネシウム)が含まれています。硬度が低いならその逆です。
水に含まれるミネラル量の違いによって、栄養面では下記の違いがあります。
硬水と軟水の違い(栄養・健康面) | ||
---|---|---|
メリット | デメリット | |
硬水(ミネラル量多) | ・腸の働きを活発にする ・便を柔らかくする ・便秘の解消 ・代謝の向上 ・血液をサラサラにする ・その他美容全般に良い |
・胃腸の弱い方はミネラル過多 / 便を柔らかくする効果により下痢を引き起こすことがある ・腹痛が出ることがある |
軟水(ミネラル量少) | ・特になし | ・特になし |
上記のような特徴があるため、美容好きの人やダイエット中の人、便秘ぎみの人は硬水を好んで飲んでいるそうです。
栄養面では圧倒的に硬水の方が優れていますが、お腹が弱かったり下痢ぎみの人は軟水を選ぶしかないですね。
【味・風味の違い】硬水は重くて苦い、軟水はすっきりまろやか
味・風味の面でも違いがあります。
硬水と軟水の違い(味・風味) | |
---|---|
硬水 | ・重く感じる ・舌にひっかかるように感じる ・独特の苦味がある ・独特の風味がある ・まるで食感があるように感じることも(超硬水) |
軟水 | ・まろやか ・さっぱり、すっきり ・無味無臭 ・人によっては甘みを感じる |
私たち日本人が飲み慣れているのは軟水です。そのため、水には「スッと入ってくる」「味がない」といった表現を使う人が多いのではないでしょうか?良くも悪くも「ただの水分」といったイメージです。
一方で、硬水はしっかりと味や匂いが感じられます。ただ多くの日本人のように軟水を飲み慣れた人の場合、硬水を「美味しい」と感じるのは少数派のようです。硬水の重たい感じの飲み心地は「こっくり」といった表現がしっくりきます。
街で見かけるあの水は硬水?軟水?
スーパーやコンビニ、自動販売機などで見かけるミネラルウォーター。どれが硬水でどれが軟水なのか知りたくないですか?
全ては網羅できませんが、よく見かけるメジャーなものの硬度を調べてみました。
いろいろな水の硬度 | |||
---|---|---|---|
商品名 | 硬度(約) | 採水地 | |
軟水 | サントリー 南アルプスの天然水 | 30mg/L | 日本/信州南アルプス |
いろはす | 30mg/L | 日本/全国6ヶ所 | |
バナジウム天然水 | 30mg/L | 日本/富士山 | |
晴れと水 | 36mg/L | 日本/全国4ヶ所 | |
クリスタルガイザー | 38mg/L | アメリカ/カリフォルニア シャスタ山 | |
六甲のおいしい水 | 40mg/L | 日本/神戸六甲山 | |
日本の水道水 | 50 ~ 60mg/L | 日本全域 | |
ボルヴィック | 60mg/L | フランス/ピュイドドーム山 | |
硬水 | エビアン | 304mg/L | フランス/レマン湖畔 |
ペリエ | 400mg/L | フランス/ヴェルジェーズ | |
ゲロルシュタイナー | 1,310mg/L | ドイツ/ゲロルシュタイン | |
コントレックス | 1,468mg/L | フランス/ヴォージュ山脈 |
これらは全て自動販売機やコンビニ・スーパーで購入できます。日本は軟水が多く、硬水の多くは海外の水であることがわかりますね。
ゲロルシュタイナーやコントレックスは硬度1,000mg/Lを超える超硬水です。特にコントレックスは500mLに牛乳瓶1本分のカルシウム、アーモンド9粒分のマグネシウムが含まれています。
【シーン別】こんな時は軟水?硬水?どっちを使う?
日常のシーン別に、「こんな時に軟水を使うとどうなるの?」「硬水を使うと何が変わるの?」という違いをチェックしましょう。
洗濯には軟水を
硬水を石けんと混ぜると「石けんカス」がより多く発生します。カスを払うのが面倒なので、軟水を使用したほうがいいでしょう。
日本は水道水が軟水なので、これまで通りの洗濯でOKです。
お風呂・シャワー・洗顔にも軟水を
硬水、特に硬度が高いものは肌や髪をキシキシ・パサパサとさせてしまいます。
日本では、シャワーや自動給湯で出てくるお湯も軟水です。よってこれまで通りでOKです。
運動後には硬水を
硬水は運動後のミネラル補給にぴったりです。
しかし普段硬水を飲み慣れていない方が急にたくさん飲むとお腹が痛くなってしまうので、おすすめできません。
運動を日常的にする人は、少しずつ硬水に慣れていくといいかもしれませんね。
飲み物の軟水・硬水の使い分け
お茶やコーヒーづくり、お酒の割り材としての用途ではどうでしょうか。
緑茶には軟水を
緑茶は茶葉の風味を楽しむものですから、無味無臭の軟水が向いています。
それ自体に独特の風味がある硬水は、せっかくのお茶の香りを邪魔してしまいます。
紅茶にも軟水を
紅茶も緑茶と同じく軟水がベストです。
国民全員が日常的に紅茶を飲むことで有名なイギリスですが、イギリスは軟水が良く採れるのでそれに合わせて紅茶が発達したとも言われています。
コーヒーはお好みに合わせて
コーヒーは、自分の好きな飲み方に合わせて水をチョイスできます。
軟水を使うと、軟水自体のまろやかさとコーヒーの酸味が際立ちます。おそらく多くの人が好むのはこちらでしょう。
硬水を使うと、それらよりも苦味がしっかりと出てきます。エスプレッソなど、とくに苦味を楽しみたい場合には硬水がぴったりですね。
お酒の割り材として
お酒の割り材としては、基本的には軟水の方が優れています。お酒の味や風味を邪魔しないからです。
ただ気になる方は、少しずつ硬水を混ぜてみるのもいいでしょう。自分好みの配合を見つけてください。
余談ですが、醸造時点では、軟水を使って醸造すると甘口のお酒に、硬水を使って醸造すると辛口のお酒になると言われています。
料理の軟水・硬水の使い分け
料理も飲み物と同じくメニューによって使い分けるのがオススメです。
お米はふかふかにしたいなら軟水、パラパラにしたいなら硬水
お米は普段軟水で炊いている人が多いと思います。
水の量にもよりますが、基本的にはふっくら柔らかく炊きあがりますよね。
これを硬水でお米を炊くと、固めの、ちょっと芯が残った感じで炊きあがります。この状態だとパラパラしやすいので、チャーハンやピラフ、パエリアなどご飯をパラパラさせたい料理にオススメです。
肉メインの煮込み料理にも硬水がぴったり
硬水はそれに含まれるミネラルによって、肉を柔らかくしたり肉の臭みを消す(アクとして取り出す)効果があります。ビーフシチューなど、肉メインの煮込み料理に使うととてもおいしくできますよ。
ただし、和食で大事とされるアミノ酸やタンパク質……つまりうま味成分も同時にアクとして出してしまいます。うま味を大切にする和食、例えば「ダシ料理」には使わないほうがいいでしょう。
パスタは硬水で作るとコシが出る
パスタにも硬水が向いています。硬水に含まれるミネラル群がパスタのデンプンと結合してコシを出してくれますよ。
プロでも、パスタには硬水を使うところが多いみたいです。
和食には軟水を
和食に硬水は向きません。
和食はダシをたくさん使ったり、素材本来の味を活かそうとする料理が多いため、それ自体に苦味や風味のある硬水を使うと味のバランスを壊してしまいます。
和食は軟水文化の中で育ってきました。軟水を使って、和食本来の良さを楽しみましょう。
赤ちゃんのミルクには必ず軟水を
赤ちゃんのミルクに硬水はNGです。
ただでさえ欧米人に比べて硬水に慣れていない日本人ですが、赤ちゃんや小さい子供はさらにお腹が弱いです。そんな状態で硬水を飲ませるのはやめましょう。
栄養面で考えても、赤ちゃんのミルクはそれ自体が「軟水で作った時に最適な栄養バランス」になるよう調整されています。わざわざ硬水でミネラルを加える必要がないばかりか、そんなことをしてはせっかくの栄養バランスを崩してしまいます。
軟水と硬水をシーンによって使い分けよう!
軟水と硬水の違いは分かりましたか?
- 日本人の口に合う、さっぱりとした水がいいなら軟水
- 水でも栄養を取りたい、美容・ダイエットしたいなら硬水
- 料理や飲み物は最適なものをその時々でチョイス
ぜひいろいろ試して、 自分にぴったりの水を探してみてください!