promotion
イエダニというダニをご存じでしょうか?
「朝起きたたら、体中が大きく腫れていた」
「虫刺されかと思っていたら、水疱ができてしまった」
「これっってヤバい病気なんじゃないの」
蚊に刺されたのとは全く違う、ちょっと尋常ではない刺され痕とかぶれがある場合、ダニ、それもイエダニの存在を疑った方がいいかもしれません。
ダニの中でもかなり特殊な種類なので、この記事を読んでいただき、刺されたときの特徴や駆除方法について知ってください。こういうダニもいるんですよ。
この記事でわかることはざっくりこれ!
- イエダニの生態、エサ、生息環境
- イエダニに刺されたときの症状、画像
- ネズミに寄生することの意味
- イエダニとツメダニの違い
- イエダニの駆除法、予防法
イエダニとはどういう虫なのか?
イエダニは英語で「トロピカルラットマイト(Tropical rat mite)」という、主にネズミを宿主にしたダニで、全長0.6㎜~1.0㎜あります。家のベッドや布団、ソファなどに多く潜むダニ「ツメダニ」とは全く違う生態、生息方法を持つダニで、両者を明確に区別しないと、対処法や駆除法を間違ってしまいます。
イエダニの画像がこれです。基本、人間の目では見えませんが、まれに大きなイエダニは目視できることがあります。
イエダニはネズミや、ペットの犬、猫、鳥などに寄生する吸血性のダニです。
蚊のように人の皮膚に噛みつき血を吸います。
吸血されるときにアレルギー反応、アナフィラキシーショックが起きて腫れてかゆくなります。
出典:あいむ動物病院 ウサギの体の表面にいた吸血したイエダニ
通常は、夜間、寝ている間に人に移って吸血をするので、ツメダニや他の虫に刺されたのと勘違いする可能性があります。
イエダニは通常時、白色をしているのですが、吸血すると赤黒い血の色に体色が変わります。
大量発生するのは6月~9月の夏で、ツメダニの繁殖期ともかぶりますが、宿主であるネズミ等がいれば吸血される可能性があり、冬場でも容赦なく刺されることがあります。
イエダニの繁殖場所はネズミの体表!しかし、犬や猫に飛び移る場合も
イエダニはベッドや布団、カーペットなどの繊維や食べ物には繁殖しません。
イエダニが巣くうのは、その英名(Tropical rat mite)の通りrat=ネズミです。
ネズミの体表や巣にイエダニは潜んでいて、ネズミの皮膚に針を刺し、そこから吸血していきます。他のダニのようにホコリや他の小動物を食べることはなく、蚊のように血だけが唯一の栄養源です。「血を吸うダニ」とおぼえておきましょう。
基本的に血を吸われるのは宿主のネズミのみなのですが、その宿主のネズミが死んだ場合、ネズミの巣内で大発生した場合、ネズミの巣を掃除した場合、ネズミが部屋にやってきた場合などに、移動して人やペットである犬、猫、鳥などに飛び移って吸血します。
人間は刺されるだけですが、ペットの場合体毛が多いので、新しい宿主にしてそこに潜んで吸血しまくるということが稀ですがあるようです。
あくまでネズミがいないと繁殖しないので、イエダニに吸血された場合、近い場所にネズミがいる、と確証が持てます。
イエダニに刺されるとどうなる?痕と症状をチェック
刺された痕を見て、イエダニだと思えば、後述の対策をしなければなりません。
イエダニに刺された痕はこうなる
イエダニは人の血を吸うために肌を刺しますが、刺された痕はどうなるのでしょう?以下の写真を見てみましょう。
出典:ダニ刺され?? ( その他の病気 ) – 健康一番 – Yahoo!ブログ
赤く腫れているだけではなく、患部がもりあがってしこり(固い)ができていますね。
これがイエダニに刺されたときの様子です。かゆそうですね。
イエダニに刺されたときの症状
イエダニに刺されると、ツメダニ以上にかゆみがあります。
単に肌を刺すのではなく、血を吸うために血管に口を入れるので、より深いところに傷がつきます。
- 刺されるとすぐにかゆくなる
- かゆみは10日続く
- 赤くただれる
- 腫れは2㎝ほどで比較的大きい
- 患部に水疱(水ぶくれ)やしこりができる
- 治っても痕が残ることもある
- 炎症が起きて皮膚炎になることも、感染症リスクも0ではない
マダニのように命にかかわる重大な病気を媒介するケースはまれですが、ネズミの血を吸った針が人間の血管に刺さるので、単に肌を傷つけられる虫刺されよりも、患部は腫れて感染症のリスクもあり、目立ちます。
ペットにイエダニが巣くって吸血する場合、より赤く腫れ、炎症が起きてしまいます。
ペットが理由もなく鳴いて暴れる場合、どこかをイエダニに刺されているかもしれません。
家の中で人を刺すのはイエダニとツメダニ 違いは?
家の中で刺されて腫れるダニとして、イエダニ以外にツメダニというダニがいます。同じダニだから同じような環境で繁殖し、人を刺すのだろうと思われますが、両者は大きく異なり、対処法も違います。
ひょっとすると、みなさんが刺されているのは、イエダニではなくツメダニかもしれません。
以下の表を見てそれぞれのダニと刺され方の違いについて知ってください。
イエダニとツメダニの違い・見分け方
イエダニ | ツメダニ | |
---|---|---|
全長 | 0.6㎜~1.0㎜ | 0.3㎜~1.0㎜ |
肉眼 | 見えることもある | 見えない |
刺し方 | 吸血 | 爪で刺すだけ |
寄生先 | ネズミ等の身体、巣 | 布団、ベッド、マット |
エサ | 動物の血液 | 他のダニ、小昆虫 |
多い時期 | 6月~9月、冬もあり | 梅雨~9月、暑い時期 |
刺す場所 | 血管周辺 | お腹、太もも、腕等 |
かゆみ | とてもかゆい | とてもかゆい |
かゆみが出るのは | すぐ | 半日~2日後 |
かゆい期間 | 10日前後 | 7日前後 |
腫れの大きさ | 2㎝ | 1㎝ |
刺された痕 | 腫れ、水疱、しこり | 腫れのみ |
ツメダニはうっかり人の肌を刺してしまうだけですが、イエダニは明確にくちばしを肌に突き立てて血を吸います。ネズミがいれば1年中繁殖するので、夏場でなく冬や春にダニに刺された場合、イエダニを疑いましょう。
刺されると腫れてかゆいのは共通していますが、イエダニの場合水疱ができて、しこりができ、より痕がひどくなります。
イエダニに刺されたときの対処法
対処法を説明します。
掻かずに患部を冷水で洗い冷やす
イエダニに刺されると、すぐに猛烈なかゆみが襲ってきます。思わず掻いてしまいそうになりますが、掻いてしまうと患部に傷がつき、化膿して炎症を起こしてしまいます。イエダニに刺されるだけなら、あまり大事に至らなくても、感染症という二次被害が起きてしまうかもしれません。
応急処置として患部をよく洗い、冷水で冷やしましょう。
同じでにでもマダニに刺された場合、患部を洗わずに皮膚科に行くことが必要ですが、イエダニの場合はそこまででもありません。
かゆければ市販の虫刺され薬を塗る
かゆみがある場合、薬局等で売っている市販薬を塗ってください。
具体的には
「ムヒ」シリーズ(ご存じみんな知っている虫刺され薬で、赤ちゃんが刺されたときに使えるものもあります)
「フルコートF」(市販薬の中では最も強いと言われるステロイドを含んだ薬)
「レスタミンコーワパウダークリーム」(抗ヒスタミン薬でかゆみの成分を生成しないようにします)
「キンカン」(こちらは有名ですよね)
などを塗って、かゆみがおさまるのを待ちましょう。
それでもかゆい場合や水疱が多い場合は皮膚科へ
イエダニの場合、吸血されて腫れるので、ツメダニと比べてかゆみや炎症の度合いが高く、水疱や「しこり」など完治後も痕が残ってしまう可能性があります。
身体には良くないですが、強いステロイド剤を塗ったり飲んだりすると、かゆみや腫れが早くおさまることがあり、それは市販薬ではなく皮膚科等医師の診察、処方によらなければなりません。
市販薬が手元にない方や、病院クリニックに行った方が早い方、あまりに腫れ方がひどい方は遠慮なく医師の診察を受けてください。ひょっとするとイエダニではないかもしれず、素人判断は禁物です。
イエダニの駆除法と繁殖しない予防法
- 今部屋にいるイエダニを駆除する
- イエダニの宿主であるネズミを追い払う
の2つが必要になります。
ツメダニや他の小さなダニのように、部屋の中を繁殖しない環境にすることはできません。
宿主そのものを消さないとイエダニはいくらでも繁殖してしまいます。
イエダニの駆除法
1.対処療法として、熱処理やスチームアイロン
イエダニはツメダニのように布団やマットに集中的に繁殖するということがなく、どこで刺されるかわからないので、あくまで対処療法的に、身体に触れるものを熱処理します。
コインランドリーで布団を熱乾燥させる、スチームアイロンをかける、こういうことをすれば熱が当たった個所のイエダニは死滅します。しかし、熱処理できないところにいるイエダニを駆除することはできません。
やらないよりマシの対処療法です。
2.バルサンなどの燻煙剤も対処療法、駆除には程遠い
バルサンなどの燻煙剤はイエダニにも効きます。
煙を浴びたイエダニは死にますし、どこに多く潜んでいるのか分からないのですから、部屋中に広がる煙で隅々までいきわたらせれば、幅広い場所のイエダニ駆除に効果があります。
しかし、家中のイエダニを駆除することはできませんし、そもそも宿主のネズミはバルサン等では死にません。宿主が死ななければイタチごっこで、いくらでもイエダニは再繁殖していきます。
バルサンの使い方!引越し前も短時間でゴキブリ・ダニ駆除の効果とは?
3.ペットがイエダニに刺されている場合動物病院に行き薬をもらう
イエダニは何らかの原因で、ネズミからペットに飛び移ることがあります。人間のように皮膚があらわになっておらず、体毛に覆われている犬や猫、あるいはウサギや鳥の場合、彼らがネズミに代わる新しいイエダニの宿主になってしまうことがあります。
ペットが刺されていて、イエダニだと思われる場合人間の薬を塗るわけにもいきませんし、そもそも体毛で塗れないでしょう。
こういう場合、動物病院へ連れて行き、獣医から「フロントライン」や「レボルーション」といった回虫、ダニ等予防薬を処方してもらいましょう。これで、体毛に潜むイエダニは駆除でき、宿主ではなくなります。
イエダニの予防法を考える
イエダニを根本的に駆除し、発生しないようにするには、その宿主であるネズミを退治し、家から追い出すしかありません。それでは、できる範囲でネズミを殺せばいいのでしょうか?
イエダニについていえば、必ずしもそうとは言えないようなんです。
1.殺鼠剤やネズミ捕りなどを使用する~一方でネズミを殺すのはデメリットがある
ネズミを殺すには殺鼠剤やネズミ捕りを使うことがまず思い浮かぶはずです。
殺鼠剤(毒餌)
殺鼠剤は、その場ですぐに死ぬ毒成分ではなく、巣に戻った時に効果が出る遅効性のものが多く、これなら家の中にネズミの死骸が転がることはありません。
しかし、巣ごと全滅してもネズミの死骸は腐り、イエダニ以外の病原体の発生など衛生的にまったくよろしくありません。ダニに刺されていた方がマシで、もっと重大な病気にかかってしまうかもしれません。
ネズミ捕り(箱式罠、粘着シートトリモチ)
ネズミの死骸をすぐに発見でき、腐る前に廃棄することができます。衛生的にも、病気リスク的にも殺鼠剤よりもマシです。
しかし、これで捕獲できるネズミはほんの一部です。「ネズミ算」「ねずみ講」という言葉があるように、短期間にどんどん繁殖するネズミのうち数匹を退治してもあまり意味がないのです。手間だけかかって効果が薄そうですね。
何よりイエダニが新しい宿主を求めて人間に噛みつくおそれがある
ネズミを殺すデメリットは、その(死んだ)ネズミに寄生しているイエダニが、新しい宿主を求めて大移動し、人間やペットの血を吸うおそれが増えるからです。
本来、ネズミとネズミの巣で大方完結していたイエダニの生態系が、人間やペットに移り、2次被害として刺されまくるということになってしまいます。
特に殺鼠剤、毒餌の場合、それが顕著です。
- 殺鼠剤、毒餌
人間やペットに襲い掛かりやすくなる - ネズミ捕り
ネズミ算で増えるネズミには気休め程度
困りました、ネズミを追い払うことはできないのでしょうか?
2.専門クリーニング業者、ネズミ駆除業者による「根こそぎ駆除」は有効
素人によるネズミ退治には限界がありますが、プロの手を借りれば、イエダニごとネズミを追い払うことができます。
ネズミ駆除業者、ハウスクリーニング業者のネズミ退治プランに依頼するのが最も確実案方法です。
家中の考えられそうな、ネズミの侵入経路の遮断、殺処分、その後の死骸の処理、ダニ等の駆除、除菌を専門用具や業務用の薬剤で行います。
巣ごと、ダニごと、根こそぎネズミを退治するので、これなら家からネズミを一掃でき、イエダニに刺されることもなくなります。
ただしネックになるのはその価格で、専門業者にネズミ駆除を依頼する場合、相場は5万円~20万円程度と言われています。
これを高いと思うか安いと思うか、効果は絶大だけに悩むかもしれません。
3.ダニ取りシートなどツメダニ予防策はイエダニには効果がない!
ダニをゴキブリホイホイのように集める「ダニ取りシート」ですが、効果があるのは布団などに繁殖するツメダニなどで、イエダニには効果がありません。
もちろん、ツメダニ予防にはなるので、ベッドなどにセットしていただいても構いませんが、イエダニに限ると効果がないので注意してください。
また、部屋の換気や湿度を下げる、布団やマットの天日干しと言ったツメダニの予防法もイエダニには効果がありません。やはり、ネズミを何とかしないと、イエダニを駆除することはできないんです。
根本的にはネズミ駆除専門業者、ハウスクリーニング業者に依頼するしかない
イエダニに刺される=ネズミが家にいるということになるので、そのほかの感染症などにかかるリスクも上がります。むしろ、そうした重大な事態になる前の「バロメーター」としてイエダニに刺されたと好意的に解釈して(ポジティブシンキング!)、専門業者に依頼することを検討してください。
借家の場合、引っ越す方がいいかもしれません。そうした住環境について、いろいろ考えさせくれるのがイエダニになります。
ネズミがいない場合ひょっとするとイエダニではなくトリサシダニかも!?
最後に、イエダニはネズミに寄生すると散々書いてきましたが、実はイエダニに似たダニで「トリサシダニ」というものかもしれません。
やはり吸血するダニで、全長もほぼ同じ(0.7mm~1.0㎜)、刺された痕も似ていますが、ネズミではなく鳥を宿主にしています。ネズミの巣もネズミも見つからないのに、同じような刺され痕がある場合、ひょっとするとスズメやツバメの巣が軒下にありませんか?
鳥が成長して巣立った跡、トリサシダニは巣から出てきて人間やペット(飼っている鳥も含む)を刺して血を吸います。
軒下だけでなく、雨戸、換気扇、ベランダ、屋根瓦など気付かない場所に巣を作ることがあるため、こちらも巣ごと取り払うことが必要です。
ただ、ネズミの巣に比べて、注意深く探せば見つけやすいので、駆除→予防はしやすいはずです。ネズミ退治の業者に依頼しても巣が見つからない場合などは、こちらの可能性も考えてください。
イエダニの対策と駆除!犬や猫に寄生するって知ってた! まとめ
- イエダニはネズミを宿主にするダニで、イエダニがいるということは家にネズミが住んでいる
- イエダニは人間の血を吸い、そのアレルギー反応で大きく腫れる
- 腫れは10日続き、水ぶくれやしこりができ痕が残る可能性もある
- 人間だけでなく飼っている犬や猫などのペットを刺すこともある
- イエダニとツメダニは刺された痕が似ているが、吸血と単に刺すという違いがある
- イエダニはツメダニのように冬場に活動できないことはなく、乾燥した寒い日でも人間を刺す
- ツメダニよりも刺されたときの反応が大きい
- 対処法は他のダニや虫刺されと同じだが、ネズミを駆除しないと完全予防はできない
- ネズミを一気に殺すと寄生先を失ったイエダニが一斉に人間の血を吸いに来るかも
- 予防、対策はプロのネズミ駆除業者、ハウスクリーニング業者に依頼するしかない
- 鳥に寄生するトリサシダニと刺されたときの症状が似ているのでそちらの可能性も考えるべき